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NEXT STAR PLAYER #5

一軍での学びを糧に
――櫻井周斗、さらなる飛躍へ

2020/7

 櫻井周斗は昨シーズン、一軍のマウンドに初めて立った。

 2019年6月7日のライオンズ戦。山川穂高や中村剛也ら、櫻井の地元である所沢を本拠地とする球団の、球界を代表する強打者たちと対戦した。結果は三者凡退。上々のデビュー戦だった。

 最終的に14試合に登板した高卒2年目のシーズンを、櫻井はこう振り返る。

「一軍で投げる機会を持てたことで、まず自分の目標の一つは達成できました。今年につながるシーズンだったと思います」

一軍のレベルの高さ。ロングリリーフも含めた、自分に課せられた役割への理解。そして、長いペナントレースをチームがどう乗り切っていくのか、どのように投手の運用がなされていくのかをその目で見られたこと。左腕にとっては「投げない日でも、毎日毎日が勉強だった」。

 なかでも櫻井が強く印象に留めているゲームがある。7月21日のドラゴンズ戦だ。

 3点リードの6回、2番手として登板した。1イニング目を三者凡退に抑えたが、7回はヒットと四球の走者を残してマウンドを降りている。

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「勝ちパターンの役割を初めて任せてもらって、それまでの(ビハインドシチュエーションで投げた)試合との違いをすごく感じました。プレッシャーというか、責任の重さというか。初めてホールドがついた試合でしたけど、いま自分が置かれている立場よりも、もっともっと大変な役割なんだということが実感できました」

 2020年の春季キャンプ、櫻井は先発としての調整に入る。

 球数を考慮に入れながらイニングを消化していく――そんな目標を掲げて練習に取り組んだものの、「反省のほうが多かった」。とりわけコントロールが安定を欠いたことが課題として残った。

 櫻井はしばしば「再現性」という言葉を用いる。理論上は、同じフォームで投げれば同じボールが再現されるはずだが、現実論としては言葉で説明するほど簡単なことではない。

 その難しさについて、櫻井は言う。

「正解がはっきりしていないんです。あまりよくないフォームで投げていると思っていても、いいボールが行くこともある。逆に、いいフォームで投げられていると思っているのに、ボール自体はあまりよくなかったり。頭で思っていることと、それを動作にすることのギャップをどう埋めていくか。はっきりとした答えがないなかで、感覚の引き出しを増やすことがいまは大事だと感じています」

 オープン戦では4試合(9回1/3)に投げ、14個の四球を出した。「悩んでいる部分がすごくあった」と、21歳は明かす。

開幕が延期になって自主練習の期間ができたことは、そういう意味ではプラスでした。フォームの問題なのか、コンディショニングの問題なのか。自分の中で一度整理して、課題に取り組むことができた。特にストレートですね。回転数を確認したりしながら、一球一球の精度を高めるために試行錯誤していました

 自主練習の期間中は、投手コーチはもちろんのこと、キャッチャー陣とよく話をした。春季キャンプも含め、悩める左腕を叱咤激励し、支えてきたのが3人のキャッチャーだった。櫻井は言う。

「キャンプのころから、(伊藤)光さん、トバさん(戸柱恭孝)、嶺井(博希)さんが順番こで受けてくれて。光さんには、ブルペンでストライクが入らなかったときに『一軍ではストライクを入れるのは当たり前だから。そういうレベルでやってるんだからな』と言われたり。トバさんには『一軍に帯同させてもらっていることをもっと意気に感じて投げなきゃいけない。期待されているということを頭に入れて、もっと自信を持って投げてきてほしい』と。嶺井さんにも『先発になったからといって、厳しいところに投げようなんて考えなくていい。去年の中継ぎをやっていたころと同じ気持ちで投げてこい』と言ってもらった。3人には励ましてもらったり、アドバイスをもらったり、いろいろな場面ですごく声をかけてもらいました」

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 そして7月1日、櫻井は今シーズン初の登板機会を得た。ジャイアンツ戦での先発マウンド。3回1/3を投げ、3失点。四球は1つに留めたものの、被安打7、球数も72球とかさんだ。

 結果的に早いタイミングでの降板となったが、櫻井にとっては手ごたえもあった。

「初回に1点を取られてしまったけど、2回、3回とテンポよく投げることができました。そこは、キャンプやオープン戦のころに比べればすごくよくなっている部分だし、納得できるボールも投げられたと思います」

 もちろん、まだまだ成長の途上にある。刺激を与えてくれるのは、同世代の選手たちの活躍だ。

セ・リーグでいえば、ヤクルトの村上(宗隆)や中日の山本(拓実)。村上は4番ですし、山本もローテーションに入っている。その2人は同じリーグで対戦する機会もあるので、負けられないっていうか、すごくモチベーションになっている部分はありますね

 1試合目で先発を務めたあと、櫻井は中継ぎで登板を重ねている。現状、そして未来に向けて、思いを語る。

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「いまは去年と同じような立ち位置にいるという認識です。もともと(先発起用を想定して)立てていた目標は“一軍定着”。期待に応えられなくていまはブルペンにいますけど、どんな形であれ目標は達成したい。去年の(登板数の)倍以上は投げたいですし、勝ちの場面で投げさせてもらえるように信頼を勝ち取っていければと思います。役割に関しては、これといったこだわりはないんですけど、一度は先発として考えてもらって、その練習に取り組んできたこともあるので、ゆくゆくは先発で、という思いがあります。(先発を)やりたい、とはコーチにも伝えています」

 努力を重ねた先に、望む未来はきっと待っている。